コラム
近隣紛争に関する内容証明
境界紛争
隣地所有者との間で、境界についてトラブルになることがあります。
公法上の境界を確定させるためには、裁判所に対し、隣地所有者全員を被告として、境界確定訴訟を提起する必要があります。
境界確定訴訟が提起された場合いんは、裁判所は当事者の主張には拘束されず、証拠をもとに境界を確定することとなります。
なお、裁判外で境界を特定する制度として、筆界特定制度があります。
筆界特定制度とは、公法上の境界を特定するため、特定対象の土地を管轄する法務局または筆界特定登記官が、筆界調査委員の調査に基づく意見を踏まえて公法上の境界を特定する制度です。
もっとも、筆界特定制度は行政の制度であり、境界確定訴訟の判決により境界が確定した場合には、判決と抵触する範囲において特定の効力が失われることになります。
また、土地の所有者は、隣地所有者に対し共同の費用で境界標を設置するように請求できますが、相手方が協力しない場合には、境界上ではなく自己の土地上に塀を設けることになります。
もっとも、協力を隣地所有者に求める場合でも、まずは面談して口頭での解決を図るほうがよいでしょう。
なお、すでにある境界標等を勝手に変更すると、刑法上の犯罪となる場合がありますので、注意が必要です。
生活環境に関する抗議
近隣の住民との間で、騒音や悪臭、日照阻害等でトラブルになることがあります。
しかし、人が社会生活を送る上では、騒音や振動等は多少なりとも与え合っているものであり、合理的な範囲内では受忍すべきです。
また、内容証明をいきなり送付するとかえって関係が悪化し、問題解決に至らないことがあります。
したがって、まずは面談して、口頭での解決を図るほうがよいでしょう。
口頭で抗議したにもかかわらず改善がされない場合には書面での抗議を行い、それでも改善がない場合に法的手続きを取ることを検討しましょう。
裁判でも、受忍すべき限度を超えていると判断される場合には差止請求や損害賠償請求が認められることがあります。
*参照:みらい総合法律事務所 編著 「内容証明作成のテクニック」